3/25 最近(SaToA 「scrambled eggs」②)

前回のSaToAの2ndミニアルバム「scrambled eggs」の録音等の話の続き。

彼女たちからライブに誘われて出演したり、ayU tokiOの音源やライブに入ってもらったり、しながらだんだんと仲良くなりながら彼女たちからいくらか音源制作に関しての相談を受ける様になりました。

そんな中、
昨年の秋頃、正式に彼女たちから「音源制作を手伝って欲しい」と、お願いをされました。

彼女たちは自主レーベル「kesakuuta market」を主催しており、とはいえその活動の指針というか具体的に何をどうしていきたいのか、その時は話を聞いても自分としては今ひとつ見えて来ない感じでした。

なので、自分はどの様な立ち位置で制作に関わったら良いのか真剣に悩みました。

最近の自分はことさら、『音源制作』に関して、敏感になっていることもあり、あまりその感を彼女たちに与えたくはないなと考えました。
今のまま、ただ楽しく音楽を作ることに没頭して欲しいなと思いました。
それをすることが彼女たちの一番したいことの様に感じたからです。

がしかし、お願いされたからには自分のやった意味を感じる様な内容にしたいと思いました。



今回彼女たちに任された二曲は『レコーディングスタジオ』とは何もかもが違う、夢の島Bumbという公共の施設を利用して録音しています。

前作の「スリーショット」も同じ場所での録音だったそうで、その時のレコーディングの方法を聞くととてもユニークで、マイクスタンドがない代わりを別のもので代用したりしていたそうなのですが、奇跡的に、そこにあるものを駆使してスリーショットは出来上がっています。俺は、クオリティよりも何よりもその独創性と全てのイメージの成功が叶っている稀な例だと感じました。
だから、「スリーショット」がとても好きです。
その良さを自分なりに、今作「scramble eggs」での俺の録音などを担当した二曲には引き継がせられたらと思いながら作業に取り組みました。

SaToAのすごいと思うところは「今、何をするべきか」を自分たちなりに考えて、言語化まではせずとも感覚的に理解しながら音楽を作っているところだと思います。

コード感一つにしても、欲しい響きを知っていて、それらを持って流れたい進行がある様に思います。
ギターの音色にしても、鳴らしたい音があって、そのための機材にちゃんとたどり着いて、その中からしっかりと堅牢なものを選んで持っていたりして。
ドラムのあみちゃんのスネアなどにもやはりそれを感じずに入られませんでした。
作曲にしても、演奏にしても、録音にしても、ミックスにしても、
きっとその他のいろんなことに対してそうなんだろうなと思います。
(メロディとコード感の関係性に関してはまた別のジャンルの感覚的なすごさに魅力を感じます。)

知識や持ち物の数は、マニアな人なんかと比べたら決して多いとは思いませんが、確かに彼女たちの持っているものは常に彼女たちにぴったりで、しなやかで逞しくて光るものばかりです。

そういうことが意識的なのか無意識的なのか見ていてもよくわからない人は本当に面白いです。
そんな人が三人集まって、かなり真剣に音楽に取り組んでいるという、最高なバンドがSaToAだと思います。
想像の余地が残る ということはとても素敵なことだと思います。


SaToAの音楽を、皆さんはどの様に感じているのでしょうか?

※動画でない






ほぼ出来ていなかった「私たちの窓」に関しては、今回レコーディングまで進むとも思っていなかった様なのですが、結果的にとても良い曲に仕上がっていると思います。

デモの段階と完成形とで曲調が多少変わっていて、歌詞も違っていたのですが、
その変化に見事にマッチしたイメージの歌詞を新たに乗せて来たのがとても印象的でした。
歌詞を大事にする人は、書く歌詞のイメージに引っ張られてしまうこともあるんじゃないかと思うんですが、
良い歌詞を書く人は曲調に合わせて、選ぶ言葉を変えて、
その言葉一つで、その文章の持っている景色や意味までも変えてしまえる人だと思います。
さっちゃんにはその才能があると思います。
それは本当にすごいことだと思います。

その中で、耳に飛び込んで来る言葉は初めのデモも、その後のものも変わらなかったので、曲のタイトルはきっと「窓」なんだろうなと思いました。
さっちゃんの言う窓も、色々なんだよな。
と思いました。

余談ですが、レコーディング初日の帰りに車で渋谷の方までみんなと移動したのですが、その際に天王洲アイル駅の辺りを通過した際に窓を開けて走っていたら、体験したことのないくらいの激臭が車内を支配しました。
一時パニックに陥ったのですが、そんな中でさっちゃんがぼそりと
「おじさんに耳元で話しかけられているみたい、、、」と呟きました。

その表現力がSaToA力なんだな。と思いました。



そして、この曲ではまちこのエレピの音もすごく真剣味があって良いです。
彼女は、人の作る楽曲に対してとても真摯に勘違いを繰り返しながら、たまにものすごい発明をすることがあります。
言葉や持ち物の多さだけで音楽を繰り出すことの意味の無さを存在で示しているような人の一人です。
SaToAに会えてよかったな、まちこよ。

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