#18 TIDE (ex-いでたつひろ)
1 「恋する団地」より「恋する団地」・・・憧憬
2「新たなる解」より「プロムナード4D」・・・越境
3「遊撃手」より「頑固もの」・・・同情
4「犬にしても」より「官能少女(cover)」・・・恍惚
5「New Teleportation」より「My Room ver2」・・・展望
ぼくはアユくんのただのファンであります。
幾度に渡り絵で作品に関わらせてもらってこの上なく幸せです。
アユくんの曲詞声は、あのとき今これからを跨ぐ心だと思います。
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画家 TIDEこといでくん。いでたつひろくん。
随分前、彼が平井で絵の展示をするときにその会場での弾き語りのライブに誘われ、それがきっかけで仲良くなりました。
「絵の展示でライブ」ということにいまいちピンときてはいなかったものの、東京の東にある平井という場所に興味があったのと、いでくんの周辺の人達に興味があったのとでオファーを承諾してライブしに行きました。
会場に着いていでくんの絵が飾ってあるのを見て、これまでに見たどんな絵とも違う面白さを感じました。
当時の彼の作品は全てが鉛筆での点々で描かれていました。点描というらしいです。
鉛の点で塗りつぶされた黒は近くで見ると虹色に光って見えました。
夜の海に船が浮かんでいて、船から放たれる光が溶けて滲んで見えてとても綺麗でした。
大きな絵でした。
想像される果てしなく緻密な制作過程への感動よりも、シンプルにうっとりしてしまっている自分にも驚きました。
そんな風に自分が感動していることが不思議だと感じました。
それまでの自分は制作過程に感じることが多かったので。
その後も彼の作品に触れるたびにやはり同じ様な気持ちになります。
相変わらず、とても不思議で、とても素敵だと思います。ただそう思うだけです。
僕にとっての「芸術」というのはいでくんの作品のことなんだろうと思うし、「芸術家」というのはいでくんのことなんだろうと思います。
後日、今度は自分の方からいでくんに「アルバムのジャケットと先行7インチレコードのジャケットを描いて欲しい」とお願いをしました。『新たなる解』と『乙女のたしなみβ』です。
「キーワードをいくつか聞かせて欲しい」と言われて、たくさんの言葉を伝えた気がします。
それから「音源が出来たら聞かせて欲しい」と言われ、少しずつ出来上がった音源を送っていきました。
ラフの絵を見せてもらうと、カラフルで優しそうな獣の様な何かと、その周りに不思議なモチーフが出来上がっていました。
その中に赤ちゃんのガラガラの様なものがあり、なんだか感激しました。
周囲に影響を受けて変化していく人が好きです。作風も変化して、これにも驚きました。
そうやって優しい色と形で満ちた絵が完成して、やっぱりとても不思議で、とても素敵でした。大好きないでくんの絵です。
いでくんはその後少しの期間水彩で絵を描いていた時期があって、個展を見に行ったのですがやっぱりそれもとても素敵で、大好きでした。
次のアルバムの『遊撃手』でもまたジャケットの絵を描いてもらいました。
この時もいくつかのキーワードを伝えて描いてもらったと思うんですが、ジャケットになるメインの絵と共にいくつかの小物の絵が出来上がると、その中に「ナイフ」があって、
「ルシファーナイフ」とそばに書いてあったので、「しっかり堕天している」と思って、そのときも感動しました。
再び鉛の点々です。
その後、彼の作品がまた変わって、TIDEになって、エアブラシを使ってツヤツヤした花瓶を描き始めて、
『新たなる解』の絵を描いて欲しいとまたお願いしたら、「カーバンクルを描きたい」と言ってくれて、本当にすごく嬉しかった。
先日展示に行き、このカーバンクルの絵も他の作品と並べて壁にかけられていて、運動会で親戚の子供を見守る様な気分になりました。
とても素敵でした。またいつかこのカーくんに会える日が来たら嬉しい。
それにしても、いでくんどんどんすごくなるな。
いでくんはフワッとした雰囲気の人です。
よく話をしているとざっくりした感じもして、だけどちゃんと話を聞いてくれていて、言ったことを忘れないでちゃんと受け取ってくれているんだなと後から思わせてくれます。
本当はもう少し言葉を使って話がしたいといつも思うんですけど、彼の絵を見ると「これだけで良いかもしれない」とも思ってしまいます。
『新たなる解』がレコードになったので、制作に関係してくれた友人たちに完成版を渡しに行きがてたみんなで試聴したとき、ミックスが変わった箇所で「あれ」「あれ」と言って反応してくれて、こんな人に絵を描いてもらえて幸せだなと思いつつ、
幸せの質感が、いでくんの描く絵と一緒だなと思いました。そういうところがいでくんの凄さです。
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