#24 森達彦 (hammerlabel)



新たなる解

「乙女のたしなみ」

戸越銀座には行ったことはないけど、この曲は戸越銀座感満載だと思ったし、そうであってほしい気もしたほどの名曲


遊撃手

「大ばか」

人を小バカにしたタイトルでびっくりした、ちなみに中バカはスターウォーズ。とむかしTwitterに書いた、くらいの名曲


新たなる解

「米農家の娘だから」

そこはかとなく千葉の、それも茨城寄りの田園風景を想像させる良曲!


「ちょっと一息」

なんか80年代ぽいのはシンセがトム・クルーズの映画、なんだっけ、、


「乙女のたしなみ」new mix

東京メトロは今からでも遅くない、CMに起用すべき。牧瀬里穂がホームを走っている絵がみえる



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森さんと一緒に音源を作ったのは、2014年の1stミニアルバム「恋する団地」マスタリング、2015年の7inch「犬にしても」のミックスを担当してくれた佐藤さんから、2016年に1stフルアルバム「新たなる解」を作ることになったときに紹介してもらいミックスをお願いしたのが最初です。


森さんは長崎に住んでいるので、制作はリモートになりました。

自分が録音をし、データを送りミックスをしてもらいました。

この流れが初めから今もずっと変わらず僕らのワークフローです。


かなり多角的な視点を持った上で、かなりこだわりが強く、かなり大胆でかなり繊細。

それら全てを音楽制作の上に広げられる手段を持ったアーティスト。森さんはそういう人です。

「ミックス作業はでっかいサンプラーをいじってる感じ」という話を前に聞いたことがあり、それが目から鱗で、それ以降はミキサーのことをどんなときでもメンバーだと考える様になりました。

そんなこともあって、「自分は立ち合いのミックスで自分のこだわりを全開に発揮する」みたいなことはほぼ考えない様になりました。

森さんにミックスをお願いする様になってから人に任せる楽しみを知りました。


その後もずっと僕や僕の関連する作品のミックスを担当してくれていたり、僕のやったミックスを聞いてもらったり、音楽的な父親の様な存在です。

普段も何てことない時に電話したりもします。主に競馬の話や家族の話や怪我の話を聞いたりしてます。

森さんの経験に裏打ちされた言葉にはとても安心感があり、電話の時間はいつだって長いですがどんな時でも最後まで話を聞いています。

森さんと電話をするときはどんな時でも僕は絶対に「暇」です。

森さんの話を聞く余裕が無くならない程度の忙しさが自分のキャパの限界であり、制作の丁寧さの目安だと思っています。


森さんは80年代は数多くの歌謡曲などのマニピュレーターをしていて(シンセとかの音を作ったりプログラミングをすること)、90年代からはhammerlabelというインディーレーベルをやっていて、カヒミ・カリィさんやラブタンバリンズ等、たくさんの名作を録音やプロデュースなど様々な角度から手がけてきた方です。ムーンライダーズのメンバーともとても縁が深いです。鈴木博文さんと一緒にライブで九州に行ったときに福岡で会って「本当に仲良いんだな」と感動しました。(二人は同い年)



森さんの話を聞いていると昔の録音のやり方は今と違って時間がかかって非効率的なものが多かったんだなとよく思います。

僕としても、コンピュータが登場する前のアナログ機材からのことを言い出せばあまりに思うことが多く、キリがないですが、森さんと作業をしていて思うのは、時間をかけることに慣れている人、時間をかけることを嫌わない人、時間をかける意味を知っている人、その時間をしっかり持てる人、に効率の良い道具を持たせると『とてもすごい』ということ。

鬼に金棒っていう、まさにそんな感じです。


素晴らしいことです。最高に楽しいです。

この楽しさは、COMPLEXレーベルをやっていく上で、「人気のある若者のカルチャーだけではなく、丁寧で手間のかけられた作品の最高さを発表する場所」であることを大事にしたいと思う、大きな理由の一つになってます。


ミックスについてのやりとりはいつも3~6回の往復になるのですが、3回目を過ぎたくらいからの森さんの追い上げがいつもすごいです。

特にそれを感じたのは太田貴子さん(80年代のアニメ クリィミーマミの声優さんであり、歌手)の「Voice of Angel」というおよそ30年ぶりのニューアルバムのサウンドプロデュースをさせてもらったときです。

アルバムの半分ミックスを森さんにお願いしたんですが、特に「大・恋・愛β」という曲のミックスでのこだわりに入っていった森さんの緻密なエディットがちょっと怖いなと思う出来になっていたのが印象的でした。


5分半ほどの長い曲なんですが、4:34からの最後のサビまで待ち続けると最高の気持ちで1日終われると思うので聞いてみてください。

「最高」はいきなり来ないです。そんなの、無理です。



「新たなる解」の2021年アナログ版のミックスはほとんど全部(森さんが担当した曲は)新しいミックスになっています。

全部最高ですが、特に狐の嫁入りは最高の出来です。聴いてみてください。



2011年のMacBook Proを使って作業をしている森さん、しばしばパソコンの不調が来てと引退を仄めかすので、もうそろそろ本当にpcを買い替えてくれないかなと思いますが、そこには独特のこだわりや強い念を持っている様でなかなかうんとは言ってくれません。

お願いだから新品購入を考えてください。


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