#32 岡村詩野
夜を照らせ
ayUくんと初めて会って話したのは『月見ル君想フ』でのライヴの時だったと思います。その時、ギター担当だった武末さんと一緒にいろんな話しをしてこの人は信頼できる人だ、死ぬまで付き合える仲間の一人だと直感した。その時のライヴでもたぶんこの曲をやっていたと記憶してるんだけど(違ってたらごめん)、ストリングスを使った華やかなアレンジからポップ・フォルムを踏襲した構成、そして、聴く人の耳に届いた時に優しくあれと願うような溌剌としたメロディから歌詞、まだほんの少し初々しさを残した歌まで、全てにおいてパーフェクトな1曲だと思います。
以下の4曲についても同じ思いですが、それぞれのポイントでより突出しているなあと思えるものを選びました。
晴耕雨読
ayUくんのコンポーザーとしての突き詰めるストイックな姿勢をこういうインスト曲から感じます。
約束
ayUくんのまろやかで憂いのある声の良さをこういうメロウな曲から甘く感じます。
怪人
ayUくんの奥ゆかしいブラックミュージック指向をこういう緩いグルーヴある曲からじんわりと感じます。
米農家の娘だから
ayUくんの奇妙な詩人としての言葉のハイセンスのほどをこういう一見素朴な歌詞から穏やかに感じます。
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音楽ライターの岡村詩野さんです。
自分の音楽は、「音を出して楽しい」というシンプルなところからスタートしていますが、それが発展して「音楽活動」っぽくなってきて、活動として動くための動力が「楽しい」だけでは立ちいかなくなっていくことを感じるようになります。
音楽を作ったり演奏したりする活動を続けていく上で、それを「伝える」ことは絶対に大事です。
考えていることのほとんどは音楽の中や活動の仕方で表現しているつもりですが、この様に言葉にして文章にして考えを表に出すこともある程度大事なんだと思います。
きっと、自分で思っている以上に自分の考えていることはわかりづらいですから、自分の位置から自分が伝えるべき人に向けて、しかも、より大勢に向けて、信憑性の高い言葉を持っている人たちの存在が助けになることもとても多いと感じます。
そんなことを思いながらライターの方々の思っていることをもう少し知りたいと考える様になっていきました。(都合がいい様な気もするけどそんなことでもない話です。)
そんなこんなで、2018年にリリースした「遊撃手」というアルバムのリリースライブであった「new solution 6」のフライヤーはミニジンの様な形態を取り、岡村さんともう一人ライターの北沢夏音さんの協力を得て作りました。どこかで見つけて読んでください。
http://www.ayutokio.net/2018/08/815.html
インタビューってものは「受ける」ものと考えるのでなくて、インタビューに乗った表現に参加するものと考えた方がいいと思います。(表現が難しい、、)
インタビュアーもまた表現者ですし、そうあるべきだとも思うので「インタビュー記事」は単純な資料じゃなくて、ある種「共作」の作品です。
それが嫌なら自分の言いたいことだけ書く場所で言いたいこと書いておけばいい様な気がします。それは別に作品でもなく、シンプルに私信。それはそれです。
とはいえ全てはバランスで、明確な線引きはないんですが、自分の感覚として度がすぎる私信は正論であっても、ぱっと見華やかで面白くても全然受け入れられないし、全てそれはそれ ですが、ある程度協調性のある表現が自分は好きです。という感じになってきました。
自分自身そういう人でありたいし、COMPLEXからリリースする作品ではそういうものであって欲しいと思ってます。
この辺には明確な自分のポリシーが発揮されます。この先は出来れば一生この感じでいたいなと思います。私信です。
という感じで、めちゃくちゃ分かりづらいコンセプトから制作されたCOMPLEX初のレーベルコンピレーション「REV.01」というのがありまして、
これについての記事がこちら。
https://turntokyo.com/features/ayu-tokio-interview/
これこそがライター詩野さんと僕との今の所の最高傑作だと思っていますので、これを読みながら「REV.01」をもう一度聴いてみて欲しいのです。
この記事が出た時は本当に最高に嬉しかった。最高です。
「言って欲しいことを言ってくれる」のが嬉しいことじゃなく、という。
表現の乗った広告って、素敵です。 そしてそのコンテンツとして自分達が乗っかってる感じがハッピーです。
「米農家の娘だから」って曲名は我ながら良いよなって思います。今後も「ハートの輪郭がぼんやりと滲む」とか言っていたいです。
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